ゆっくりあるこう   by照美 yokoiterum.exblog.jp

大自然のかみさまと おなじほしにうまれたいのちにであう旅 唄いながら旅しています ~照美 


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やくそくのとき⑳ツクロウコトナク ココニアル

3月5日(日)午前
9時を過ぎて
目の感じがかわったとおもって 看護師さんに言った
まこりん いまは大自然の流れの中に ただ乗っているんだとおもった

目はもう 目の機能としては 意識して見るということは手放したようにみえた
偶然目に入ったものは 映っている という感じがした

それでも 目をあけて 一生懸命呼吸している
目を開けるのってすごく疲れること
エネルギー使ってると思う
私だってそうだもん
目を閉じた方が楽だもん

まこりんが小さい頃から慕っているおねーさんがきたあと

しばらくして はるちゃんと友人がドアを開けて入ってくる音がした
まこりんのまぶたが ほんとうにしずかにしずかに降りようとしてたので
あわてて
「まこりんっ まって はるちゃんきたよ かおみてっ」
と言って はるちゃんをまこりんの顔の前に抱き抱えてみせた
まこりんの目に はるちゃんとわたしが映ったところで
電車のドアが閉まるみたいに ゆっくりまこりん目をとじた
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呼吸もしっかりとはいえないけれどしているし
耳から音は聞こえているだろうし 
「おとーさん 疲れてちょっと目をつむちゃったね」 とはるちゃんに言って
まこりんの腕にシールをべたべたはって遊んだ
「昨日はなにして遊んだの?」
「おひな様のお唄がとても上手で おとーさんて叩いてたよ~
 いっしょに唄おっか?」
家にいるみたいに ただ ふつうのおしゃべりを ずっとした

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このあと 縁のある音楽仲間たちが会いに来てくれた
まさか こんなことになってるとは思っていなかったと思うし びっくりしたと思う
繕うことなくまこりんと部屋で迎えた
ツクロウコトナク ココニアル
そういうわたしたちで いられることが 私はとてもうれしかった
カラダをもった私達ふたりの卒業テーマはこれだったのかと思った 
この最期の時に うれしくなるというのも おかしな話なのかもしれないけれど

まこりんのカラダがしずかになってきたので 脈をとってみた
「あ。。。 わたし まこりんの脈がとれない」
とつぶやいたら
まこりんが サッと ひじから手を挙げた
『まだ生きてるからっ』 とでも言いたげな 挙手だった

音楽仲間が来て帰って20分くらいしたころ
マラソンランナーが競技場に帰ってきて最後の一周にさしかかったような
そんな気配になった
それから5分なのか10分なのか15分なのか分からないけれど
その間の自分の行動は はっきりと覚えていない
左腕を まこりんの首にまわして 右手でまこりんの左手を握って 
話しかけ続けていたことだけ覚えている

はるちゃんはどうしていたのか 他の人たちはどうしていたのか
全く覚えていない

口からぽんぽん出てくる言葉のかぎり まこりんに話しかけた内容も
あまりよくおぼえていない

しばらくまこりんに話しかけて まこりんのカラダから
言葉の要らない返事やらなにやらを受け取ったかんじがしたあと

まこりん 全身全霊でカラダを震わせながら大きく二回息を吸って 
自分で幕をひいた

しばらくそのまま傍にいて まこりんにありがとうをたくさん言った 
もう カラダからでてっちゃったと感じてまこりんから離れようと立ちあがると
部屋の入り口をはいったところで 主治医と看護師さんが 
その一部始終をただ待って見守ってくれていたことに気がついた

「確認します」と まこりんのそばにこられ 臨終宣言をしてくれた
たぶん 臨終の時間は 先生の今の時計の時間より早いです と
喉元まで出たけど そんなのどーでもいーか と思ってやめた

ここは 病院だけど この部屋は まこりんと私の部屋だった
主治医さえ会いに来てくれるお客さんのような気持ちで過ごしていた
私たちの責任で 私達の意思で ここで暮らしていると思えたこと
これからさきの私の大きな癒しになると思う

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看護師さんがまこりんの身支度を整えてくれたのを待って
部屋に戻り片付けをして 
まこりんと私と二人だけになったので 試しにチューしてみた
白雪王子みたいに 毒りんごが転がり落ちて 起きてくるかもしれないもん

残念ながら リンゴのかけらは出てこなかったけど まこりんはあったかかった

多分 カラダから抜け出て ふわふわと
私の横にいるだろうまこりんとふたりで
お部屋にご挨拶をした
カラダを持ったわたしたちの さいごの修業の場所 どうもありがとう

主治医の先生に がん保険に入ってるか聞かれ
そういえばアフラックから時々ハガキが来てたなと思い「入ってると思います」
というと解剖しますか?と聞かれた
「はっ・・・?かいぼー?」
検査で確定ができていないので、肺がん疑いとしか書けないとのこと
解剖してがん細胞を確定する必要があるとのこと
このままでは多分保険がおりないでしょうという
「えーーーーーーーーっ ひどい話ですね~  いいです いりません
 お金はありませんが 明日から路頭に迷うような貧しさでもないのでいりません」
と言った

しばらくして先生が死亡診断書に「肺がん」と書いて持ってきた
「夏の検査からの経過で 肺がん と診断した理由を説明できるので。
 ただし、保険会社の書式で詳細な記載には 検査の実績と確定が求められると思いますので
 保険は難しいかもしれません」とのことだった

先生の気持ちだけで もう十分だった
そんなん かいぼーなんて もー いらないしっ

しかし。。。
たぶん同世代で言いやすいということもあったけど
まこりんの主治医の先生には たった12日間の付き合いだったけど
ほんとにいろいろなことがありすぎるほど起こって
ずいぶん対等に気持ちをぶつけたなという感じがする
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あぁあ
一緒に履いてかえりたかったな




 



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by yokoiterumi | 2017-04-06 14:36 | まこりん やくそくのひ | Comments(0)